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■第十二回■TOKYO PRO Marketにおける資金調達の動向【清和監査法人 パートナー公認会計士 戸谷英之】

2014年01月14日

コラム写真20140114 よく、TOKYO PRO Marketに上場しても資金調達はあまり望めないのではないかという声を耳にします。確かに、日本のIPO市場は既存の新興市場が大きな役割を果たしておりますし、少なくない個人投資家がIPO市場に投資を行っておりますが、これらの個人投資家はプロ投資家のマーケットであるTOKYO PRO Marketにはなかなか参加することはできません。そのため、企業側にとってもスピーディーに上場できるTOKYO PRO Market以上にマザーズなどの既存の新興市場を目指すことの方がメリットがあると感じられるケースが多いようです。

 

 では、実際にTOKYO PRO Marketに上場した企業の資金調達はどのようになっているのでしょうか。第一に資本による調達はあまり行われていないのが現状です。最新の発行者情報(TOKYO PRO Market上場会社が発行する有価証券報告書に該当する書類)を分析したところ、上場の前に数社が資本を第三者割当で増資しているケースがありますが全体の傾向にはなっていないようです。

 次に負債による資金調達の状況はどうでしょうか。現在、TOKYO PRO Marketに上場している会社は6社ですが、そのすべての会社で借入金が増加していることがわかりました。特に長期借入金が増加している場合が多くなっております。また、社債という形での資金調達を行っている会社も見受けられました。

コラム表20140114

 

 

 

 

 

 

 

※新東京グループは持ち株会社を設立しているため筆者が便宜的に集計しています。

 

 借入金が増加する理由としては、もちろんTOKYO PRO Marketに上場する会社ですので、企業の成長による規模の増加がありますが、TOKYO PRO Marketに上場したことによって多くの情報開示が求められ、監査法人による監査済みの財務諸表も開示されます。これらを受けて、金融機関からの信頼性が向上し、融資がおりやすくなったとの話をよく聞きます。実際にTOKYO PRO Marketといえども非公開の会社とは比較にならない内部管理体制を構築することになり増すので、金融機関としてもより安心して資金を出すことができるようになっております。まだまだ、資本調達という意味でのTOKYO PRO Marketは発展途上ですが、TOKYO PRO Market上場→金融機関からの資金増加→企業の成長 という好循環が生まれることが今後も期待されます。

 なお、今回は資金調達の動向について触れされていただきましたが、申すまでもなくTOKYO PRO Marketにはそれ以外にも多くのメリットがありますので上場を目指す場合は概要をよく確認していただければと思います。

 

清和監査法人 パートナー公認会計士 戸谷英之

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