この度、Let’s IPOのサイトをオープンすることになりました。　
私がＩＰＯ（Initial Public Offering）、いわゆる新規株式公開に接することになりましたのは、いまから16年前まで遡ります。 いまは東証1部企業にまでなりましたが、当時はまだ上場準備中で上場できるかどうかもわからない企業の株式公開準備に携わったことから始まりました。　当時はベンチャー企業のＩＰＯといえば店頭登録でした。有価証券報告書に該当するⅠの部、そして分厚いⅡの部を来る日も来る日も夜中まで作成し続けた記憶がいまでも鮮明に残っております。　そんなＩＰＯの準備をしている時に起こったのは、1997年の金融危機でした。　山一證券、三洋証券、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債権信用銀行が続けさまに破綻し、ベンチャー企業にとっては、ＩＰＯどころではなく、資金調達そのものが困難な時代に遭遇したことが、今となってはほろ苦い思い出として残っております。その後、日本にも新興株式市場が創設されて私の勤務していた会社がめでたく上場したのは2000年12月のことでした。

それから、しばらくの時が経ち、再びＩＰＯと向かい合うことになったのは、新規公開株サイトの東京ＩＰＯの運営を引き受け、東京ＩＰＯの編集長に就いた2012年10月のことでした。　当時の市場環境は、ＩＰＯこそ年間で三桁の数がありましたが、日本の株式市場はメガバンクを中心とした不良債権の処理や再編の渦中で、ＩＰＯの初値が公募価格割れとなることは日常茶飯事の時代でありました。サイト運営を始めてからちょうど半年が過ぎた2003年の春に、りそな銀行に公的資金が入ると、そこから日本の株式市場は怒涛の上昇となりました。　ＩＰＯのほうは2005年には平均初値騰落率が134％まで上昇し、ＩＰＯバブルとよばれる時代がしばらく続きました。そんな時代も2006年1月のライブドアショックで新興市場企業に対する不信感が高まり、東証マザーズ、ジャスダック等の新興株式市場から潮が引くように資金が逃避してまいりました。その後には2008年9月の米国に端を発するリーマンブラザーズの破綻でグローバル経済がストップし全世界の株式市場が沈みました。　しかしながら、世界の主要国はなんとか財政出動などで経済の回復を図ったことにより、日本を除く世界の主要な株価指数はいつの間にかリーマンショック直前の水準まで回復しました。　そのような世界の経済と株式市場の動きを横目に見ながら、日本の株式市場は円高による輸出企業の不振で株価は低迷を続け、ＩＰＯにおいても2009年には年間で19社まで落ち込んでしまいました。そして昨年末には３年ぶりに自民党が衆議院選挙に勝ち安倍政権が誕生しました。安倍首相は、デフレ脱却を掲げる日本経済復活の「３本の矢」を発表したことで、円高から円安に、そして、黒田日銀総裁の誕生で徹底した金融緩和が行われることなり、日経平均株価は１万５０００円台まで回復してきました。ところがＩＰＯのほうは今年においても年間で60社程度しか見込まれておりません。
バブルが崩壊してリーマンショックの年までの18年間にわたり年間150社前後の数で推移してきたＩＰＯが二桁の前半の水準がここ4年続いています。この忌々しき事実を目の当たりにしてなんとか日本のＩＰＯを取り戻すために一肌脱ぐべきではないかと考えたのが今回Let’s IPOサイト立ち上げのきっかけでした。


IPOとは一般的にはInitial Public Offering（新規株式公開）を意味しますが、わたしたちは、Initiate Invaluable  Innovation / Passion  Professional  Potential /Outstanding Optimism Originality つまりIPOを実現するには以下の３つの要素が不可欠であると考えています。

I   for   Initiate, Invaluable, Innovation
     価値のある革新を創出する
P   for  Passion, Professional, Potential
     秘めた情熱とプロフェッショナリズム
O  for  Outstanding, Optimism, Originality
     傑出した独自性と楽観主義

Let’s IPOは自らのスキル、技術、経験に自信を持ち、独立心に富み、この閉塞感のある時代に自らの事業を前向きに捉え世の中を変えていこうと日々突き進んでいく起業家/企業家の皆様を応援します。
このLet’s IPOの活動が、日本でIPOを目指す起業家/企業家が増えることに繋がり、ひいては日本のIPO市場の活性化につながることができれば幸いでございます。