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■第八回■Let’s 海外上場 (2) ラオス証券取引所 【DLA Piper 東京オフィス パートナー 弁護士 石川耕治】 2/2

2013年11月11日

今回のLSE訪問は、国連開発計画(UNDP)のビエンティエン事務所のご好意で実現しました。UNDPの担当者から、「大学時代の友人だから行けば会える」ということで、LSEの会長兼CEOの秘書役の方を紹介していただき、ビエンティエンの中心部から車で20分くらいのところにあるLSEを訪問しました。玄関には警察官も数名いたのですが、階段に腰掛けておしゃべりに夢中で(下の写真で分かるでしょうか)、黒いスーツを着たどう見ても怪しい私のような者が目の前を通り過ぎても誰何一つしませんでした。誰にも咎められず(そもそも人がいない)、身分証確認一つ、荷物確認一つ受けずに8階にある会長兼CEOのオフィスまで行けたのには、不用心だなという心配を通り越して感動的ですらありました。でも、日本も20年くらい前まではこんな感じだったのですから、ラオスの方が正常で(悪い人が少ない)日本の方が異常なのかもしれません。

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(ラオス証券取引所。筆者撮影)

おそらく国を代表する優秀な若者が集められているのでしょう、ラオス証券取引所及び証券会社(LSE内に証券会社のオフィスがあります)の職員の方は、皆さんとてもプロフェッショナルで礼儀正しく、小職の突然の訪問にも快くお付き合いをしてくださいました。英語を流暢に話すことは当然として、フランス語や中国語、中には日本語を話す方もおり、コミュニケーションにはまったく不自由しませんでした。

 

ラオスは人口が700万弱の小国、しかも内陸国でありそのほとんどが山岳地帯ですから、中国やインドのような巨大経済圏にはなれません。メコン川を挟んでお隣のタイとの経済格差は致し方ないとしても(例えば、サトウキビをタイに輸出して砂糖にしてラオスに輸入している)、ベトナム(約9000万人)やミャンマー(約5000万人)と比較してもその人口の少なさというハンディキャップを負っています。

 

しかし、それでも、一度でもラオスに行ったことがある人は、特に日本人には、ラオスの曰く言いがたい魅力を直ちに感じとるのではないでしょうか。GDPもPERもIRRも気にしない、今のままで十分幸せ、pricelssな価値観を大切にする社会、それが今のラオスなのかもしれません。

 

かつての日本と同様に、経済開発と引き換えにその国の美点が変容していくのはやむを得ないのかもしれません。同時に、国際法律事務所に勤務するビジネス弁護士である自分が、少し間違えばその変容に悪者として加担することにもなりかねないことにも気づかされました。おそらくラオスの人々も、意識してか無意識であるかはともかく、自分たちがこれから失おうとしているものと引き換えに何が得られるのか、それは本当にラオスにとって正しいものなのか、その微笑みの影で慎重に比較衡量しているのではないか。そんな印象をもった今回のラオス訪問でした。(終)

 

DLA Piper 東京オフィス パートナー 弁護士 石川耕治

 

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